テキスタイルデザイン専攻領域
平塚 響
《Dispoland》
2021年
軍手は使い捨てられる。安価な消耗品で、決して良い素材とは言えない。モノは朽ち、いつかは捨てられてしまう。しかし、人に寄り添い、大切にされた末に役目を終えるモノだってある。洋服がその一つだ。愛情とは無縁の軍手に着られるという新たな役割を。
教員評価
教授
清家 弘幸
ありふれたもの目を向ける。服はありふれたもので、当たり前のことだが着たり脱いだりするものである。しかし、少し見方を変えれば、他者との対話において、ときには窓口となり、ときには防壁となり、外被としてさまざまな役割を担うなど、私たちの日常生活に切り離すことのできない存在である。そう考えると、ありふれた服は思いのほか大切なものになる。ありふれたものも、目の向け方で新たな発見がある。大切なのは、差異性や同一性ではなく、類縁性に目を向けることではないか。使い捨てが当たり前の軍手を素材として扱い、着るという役割という与え、愛おしむ服に変容させる。ありふれたものに新たな役割を与え、価値あるものに変容させた。