室内建築専攻領域
中村 真由香
《Zutto》
2021年
子どもが大きくなると大抵の場合、そのとき遊ばれていた玩具は捨てられてしまい、大人になる頃には玩具の存在を忘れてしまう。消費社会と言われて久しい現代において、使用期間の短い玩具はまさにこの問題を助長している。また、玩具で遊ぶことによって子どもは感覚、感性等成長後も心や性格に影響してくる様々な人格も形成する。
そのような玩具が一時的なものとして消費されてしまうと、幼少期の思い出まで捨てることになると感じたため、玩具が物質的にも大切な思い出としても暮らしの中に残り続けられる方法を提案することが本研究及び作品の主旨である。
物質として残るために床、壁、天井からなるインテリアにインテリアトイとして玩具を昇華し、子どもの心理学的要素を取り入れ、成長後も子ども心を思い出せるデザインを目指した。
教員評価
教授
地主 広明
本研究は、換言すれば「インテリアのキッズデザイン」である。現代の消費文化の現状を踏まえつつ、子どもの発達心理、中でも幼児期の成長過程で見られる「イマジナリーフレンド」に焦点を当て、愛着心を育む作品になっている。さらに、子どもが大人に成長していく過程において、消費後はモノ達が捨てられる行為にメスを入れ、成長後にも「子ども心」や「子ども時代の思い出」を大事にするためにインテリアの一部として残すという発想は、世代を超えて使い続けることの重要性を示唆している。このような発達心理学的な要素や、現代社会問題を下地に、その問題解決のための理論形成をしっかり行った上での研究制作は高く評価出来る。