「志向と選択」CSP実行委員会 保井智貴
CSP(Creative Spiral Project)は、東京造形大学美術学科教員が主体となり、東京造形大学卒業の芸術家の発表支援と活動記録の蓄積を通じて、新たな芸術表現の育成と社会還元を行うことを目的としたプロジェクトです。2013年から始まったCSPの第5回展は「CSP5 志向と選択」です。 現代社会は多くのモノやコトに埋もれています。さらに近年、インターネットやスマートフォンの普及によって伝達手段や接触回数が増えたことで、より多くの情報が瞬時に流れるようになり、個と社会の関係やコミュニティにも影響を与えるようになってきました。世界中で同時多発的に発生している多くのデジタル化された情報は、加工と反復を繰り返し、質と量を変えながら社会を流動しています。このような遠隔的で実体感のない情報を、人はどれだけリアリティを持って受容しているのでしょうか。不確かな情報が目の前に押し寄せている現在においては、われわれにとって「選択する」ことがカギとなっているように思います。そして選ぶためには、「志向」つまり精神が物事を目指す根源が重要になってくるのだと考えます。今回参加する鈴木のぞみ、五月女哲平、髙田安規子・政子、樋口明宏らの作品からは、この情報過多の社会の中で多くの事象や事物と共存した強固なリアリティが感じ取れます。彼らの作品に内存する「絵画」や「彫刻」は、作家が思考を表すための手段の一つではなく、彼らの個としての価値観、環境、経験、記憶が幾重にも重なり、複雑に絡み合った思考の奥底にある表現媒体の中核から発生するものなのだと考えます。その中核を抽出し、現代社会の中で彼らの「選択する」ための揺らぎのない「志向」のありかたに触れることで、作家としてのリアリティを確認できるのではないでしょうか。本企画において、作家それぞれの日常と変化する社会の境界で、救心と拡張の反復から得た感覚を「志向」と「選択」という視点から考えます。社会との対話の痕跡とも言える作品から、彼らの見えない意思の全容に接近したいと思います。
CSP(Creative Spiral Project)は、東京造形大学美術学科教員が主体となり、東京造形大学卒業の芸術家の発表支援と活動記録の蓄積を通じて、新たな芸術表現の育成と社会還元を行うことを目的としたプロジェクトです。
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