母袋俊也 浮かぶ像 ― 絵画の位置
退職記念展
2019年10月30日(水)~11月30日(土)
休館日:日曜・祝日・11月7日(木)
開館時間:10:00~16:30(入館は閉館の30分前まで)
※11月4日(月・祝)、11月30日(土)は18:00まで開館
会場:
東京造形大学附属美術館、
東京造形大学12号館1階ZOKEIギャラリー
東京造形大学10号館1階CSギャラリー・CS PLAZA、10号館前芝生
母袋俊也(1954年- )は東京造形大学絵画専攻を卒業後に渡独、1986年に複数パネル絵画様式の着想を得、1987年《神話の墓B №2》(4枚組)を制作、帰国します。以後、「絵画におけるフォーマートと精神性の相関」をテーマに制作と理論の両面で実践を重ねながら、絵画哲学とも呼ぶべき独自の思想を構築してきました。
「浮かぶ像」「膜状化」「現出の場」「絵画の位置」などの概念は、その思想において特に重要な地位にあります。像は「現実の世界」と「精神的な世界」がわずかに重なり合う両義的な場に浮かび上がるもので、その位置にある絵画にはイデアの世界の表出が可能になると考えられるのです。「絵を描く者にとって、絵は正しくなければならない」という彼の言葉は、こうした思想に導かれるのです。
東京造形大学退職記念となる本展では、附属美術館において〈TA〉〈奇数連結〉〈バーティカル〉〈Qf〉〈Himmel Bild〉という全系列を概観する展示を行います。また、CSギャラリーとその周辺で《小屋・現出の場》(2013年)と〈Himmel Bild〉を含むインスタレーションや《絵画のための垂直箱窓》(2012年)、《ヤコブの梯子》(2015年)などを、ZOKEIギャラリーで思想の概念図ともいえるプラン・ドローイングと絵画作品との関係や自筆の論考などを紹介します。
フォーマート(画面の縦横比)研究の起首となった《神話の墓B №2》から最新作まで、年代的にも可能なかぎり網羅するこの展覧会では、母袋の絵画と思想を総体的に考えることのできる機会となることを目指します。
⇒展示風景
母袋俊也 略歴
1954 長野県生まれ
1978 東京造形大学美術学科絵画専攻卒業
1983 フランクフルト美術大学/シュテーデルシューレ R・ヨヒムス教授に学ぶ(~’87帰国)
1986~ 複数パネル絵画様式の展開
1988~ 立川にアトリエを定め、制作を始める。戸外でのスケッチの再開
1992 論文「絵画における信仰性とフォーマート-偶数性と奇数性をめぐって-」執筆
1993 東京造形大学専任講師(94~助教授)
1995 アトリエを立川から藤野に移す。偶数パネル作品をTA系と命名
1996 奇数パネルでの制作
1999~ 野外作品「絵画のための見晴らし小屋」制作
2000~ 東京造形大学教授
2001~ Qf(正方形フォーマート)系の展開
2013~「Himmel Bid」シリーズの開始
2019 東京造形大学退職、名誉教授
主な個展
2006
「風景・窓・絵画 アーティストの視点から:母袋俊也の試み」埼玉県立近代美術館(常設展特別展示)/埼玉
2007
「母袋俊也>>絵画のための見晴らし小屋>>水平性の絵画の流れ」辰野美術館/長野
2012-2013
「コレクションxフォーマートの画.家母袋俊也 世界の切り取り方-縦長か横長か、それが問題だ」青梅市立美術館/東京
2014
「母袋俊也 絵画《TA・KO MO RO》―《仮構・絵画のための見晴らし小屋KOMORO》」市立小諸高原美術館/長野
2017
「母袋俊也 Koiga-Kubo 1993/2017 そして〈Qf〉」奈義町現代美術館/岡山
著書
2017 『成田克彦 「もの派」の残り火と絵画への希求』(共著)東京造形大学現代造形創造センター
2017 『絵画のための見晴らし小屋 母袋俊也作品集vol.1』 BLUE ART
2018 『母袋俊也 絵画 母袋俊也作品集vol.2』 BLUE ART
2019 『絵画へ 美術論集1990-2018』論創社
主催:東京造形大学附属美術館
協力:母袋俊也退職記念展実行委員会