日本を代表するアートディレクター/グラフィックデザイナーである浅葉克己(1940-)先生の展覧会を開催します。

浅葉先生は桑沢デザイン研究所を卒業後、ライトパブリシティを経て、1975年に浅葉克己デザイン室を設立します。そこから、サントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミンA」、ミサワホーム「家ではスローにん」など、時代を代表する広告を世に送り出してきました。同時に、第一線で活躍するさまざまな分野のクリエイターたちとのネットワークを生かして、特定の領域に収まらない多彩な活動をつづけられています。

デザイナーとしての出発点にあるタイポグラフィ、デザイン思想の基盤となったバウハウス、秘境と呼ばれる場所までの世界各地を訪ねたロケ旅行、デザインの原点とみなすこともできるトンパ文字、日々重ねられることで膨大な量となった日記、クラブチーム「東京キングコング」を主宰し「六段」の段位をもつ卓球……浅葉先生の仕事にはさまざまな顔があります。今回の展覧会では、先生自身のセレクションにより、こうした仕事を可能なかぎり多く紹介します。

浅葉先生は2011年10月から2020年3月まで第10代桑沢デザイン研究所所長を務められ、同じ桑沢学園の東京造形大学では現在も客員教授をお願いしています。本展の開催により、長年にわたる浅葉先生と桑沢学園とのつながりについてもお伝えできればと思います。

東京造形大学附属美術館長

藤井 匡